哲学

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Moodleのデザインおよび開発は「社会的構築主義教授法 - social constructionist pedagogy」に基づいて行われています。

この概念を紐解くために、このページでは関連する4つの主要な概念に注目して概説します。構成主義、構築主義、社会的構成主義、関連認識と分離認識、の4つです。

構成主義

構成主義の考え方は、人間は、それぞれの環境に対して働きかけを行ったり受けたりすることにより、新しい知識を構成する、という視点に立っています。

あなたが、読んだり、見たり、聞いたり、感じたり、触ったりするものすべては、あなたの知識に照らし合わされます。そして、もしそれが、あなたの精神世界に適合する場合は、新たな知識として蓄えられます。もし、広範な環境で上手く使われる場合、知識は強化されます。人間は受動的に情報を吸収する記憶貯蔵庫ではありませんし、知識がちゃんと人間に「伝送」されるためには,何かを読んだり人の話を聞いたりするだけではだめだということです。

構築主義

学習は、他の人のために何かを構築するという経験をするときが特に効果的であると、構築主義では主張しています。これは、話された文章、インターネット上の投稿から、さらに複雑な絵画、家、ソフトウェアパッケージのような作品であり得ます。

例えば、このページを数回読んだとしても明日になれば忘れてしまうことでしょう。しかし、あなたがこれらの考え方を誰かに自分の言葉で説明しようと試みる場合、またはこれらの概念に関してスライドショーを製作する場合は、あなた自身の考え方に統合された、より良い理解を得ることができるはずです。これが(たとえ後で読むことが無いとしても)人々が講義中にノートを取る理由です。

社会的構成主義

これは構成主義の考え方を、集団が互いに知識を構成するという社会設定に拡張したもので、様々な物とその意味を共有する小さな文化を、集団が協調して創造するという状況を想定しています。ある人がこのような文化に影響を受けた場合、あらゆるレベルでいかにしてこの文化の一員になれるか、常に学ぶことになります。

非常に簡単な例は、カップのような物体です。この物体は様々な用途に使用できますが、この形が液体を入れるという「知識」を示唆しています。もっと複雑な例は、オンラインコースです。ソフトウェアツールの「形」のみが、オンラインコースがどのように実施されるのかを表すのではなく、作成されたグループ内の活動およびテキストが全体として、グループ内でどのように振舞うかという形をメンバーに対して示します。

関連認識と分離認識

この考え方は、ディスカッションにおける各個人のモチベーションを深く探るものです。

  • 分離的な行動をする人は、「客観的」であり「事実に基づいて」考え、 反対の考え方の穴を見つけることで、自分の考えを守る傾向があります。
  • 関連的な行動をする人は、他の人の考え方をもっと感情的に捉え、主観的に受け入れ、聞いたりたずねたりすることで理解する努力をします。
  • 建設的な行動をする人とは、両方のアプローチに敏感であり、現在の状況に適切な行動を選択することができます。

一般的に、十分な数の関連的な行動をする人が学習コミュニティに存在する場合、人々を密接にするだけではなく、より深く考えること、および既存の考え方を再考することにおいて、学習に関して非常にパワフルな刺激となります。

結論

これらのことを考慮すると、学習者に知って欲しいとあなたが思う情報を単に提供・評価することよりも、学習者に様々な経験をさせることが学習に極めて重要であるとも思えるでしょう。また、それぞれのコース参加者が教師であると共に、学習者にもなり得ることを理解する手助けとなります。「教師」としてのあなたの仕事を、「知識の発信源」から、影響を与える人、クラス文化の模範的な人に変えることができます。また、学生の学習の要望に個人的に取り組み、学生を総合的にクラスの学習ゴールへ導く形で、ディスカッションや活動をモデレートすることができます。

Moodleはこれらの行動スタイルを強制することはありませんが、サポートすることに関して最適なシステムであると設計者は考えています。将来的には、Moodleの技術的基盤が安定性を増すにつれ、教育学的活動のサポートをさらに改善することは、Moodleの開発の方向性を決める大きな要素となるでしょう。